コンセプト:Materials Shell

進化するシェル、進化するサウンド

ドラムシーンの歴史を塗り替えてきたパールドラムス。 ドラムサウンドの要はシェルにあるという考えのもと、パールドラムスはそれぞれの時代にふさわしいシェルを生み出してきた。
歴代モデルのサウンドには、その音楽的背景とドラマーのニーズが鮮明に映し出されている。

パールドラムスがトップブランドとなるまで

ジャズが音楽シーンの中心的存在として人気を集めていた頃、パールドラムスは誕生した。そして当時のウッドシェルのハンディを克服すべく、パールはいち早くシェルの開発に取り組んだ。
60年代後半、ファイバーシェルの“プレジデント”がデビューを飾り、70年代の前半には、海外で一足先に人気を集めたファイバーグラス・シェルの“プレジデント・エクスポート”がデビュー。続いて、シームレス・アクリルシェルの“クリスタルビート”も登場。これらのシェルは、温度、湿度の影響を受けにくいうえに、パワフルなサウンドに大きな魅力があった。
一方、ウッドシェルの方では、シェルの内面にファイバーグラスマットをコーティングしたウッドファイバーグラスシェルの"アーティスト"を経て、70年代後半に、日本初のオールメイプルシェルの“ジャイアントステップ”が誕生。このシリーズのデビューは衝撃的に受け止められ、パールドラムスが実質的にトップブランドとなるきっかけとなった。

シェル開発発展途上の時代

その後、メイプルシェルの内面にファイバーグラスクロスをラミネートした“ジャイアントステップ・アーティスト”、オールバーチの“ブルースフレイバー”が次々とデビュー。80年代末には、10プライ、8プライの厚胴メイプルシェルをフィーチャーした、“ジニサルレゾネイター” が登場し、ライヴのみならず、レコーディングスタジオで要求される高度なサウンドづくりにも見事に応え、パールドラムスは、そのバラエティ豊富なシェルとサウンドのバリエーションで世界中のアーティスト、ドラマーから圧倒的な支持を獲得した。

サウンドづくりのテクノロジーがアグレッシヴに進化を遂げ、フュージョンなどが一世を風靡するなか、行き過ぎた方向を修正するかのように、90年代にはロックやジャズに本来のナチュラルな音を追求する動きが生まれ、アンビエンスを生かした奥行きのあるサウンドづくりや、音色の心地よさを求めるムードが高まり、ドラムも新しい方向性を見いだすことが求められた。その動きを敏感にとらえたのが、薄めのメイプルシェルにレインフォースメントを装備した“クラシックメイプル”だ。
パールはこのシェルにダイカストフープを導入することより、単なるヴィンテージサウンドの復活ではなく、最新の音楽シーンにふさわしいサウンドのクオリティとスペックで応えた。メイプル、バーチ、マホガニーをシェル素材としてラインナップした“マスターズ”は、この新しいシェルを加え、長らくプロフェッショナルドラムの象徴的存在として君臨することとなった。

これらのシェル開発の歴史に金字塔を打ち立てたのが、メイプル、バーチ、アフリカンマホガニーを中心に、ブビンガなどのアウタープライを含めたコンポジットシェルを基本とする、完全オーダーメイドの“マスターワークス”だ。ドラマーひとりひとりのニーズにキメ細かく対応する、この究極のアコースティックドラムは、いまもなお世界のドラムシーンの頂点にある。

シェル開発高度成長期から現在に至るまで

パールのシェル開発は、その後も休むことなく、さらに高度なものとなってゆく。パールが新たに手がけたのは、メイプルシェルの外面、内面にハイテク素材のカーボンクロスをラミネートさせたハイブリッドな“カーボンプライメイプル”だ。このシェルは、従来のいかなるシェルとも異なる斬新さ、鳴りの豪快さを発揮し、とりわけローレンジのパワーと存在感に特徴がある。

そして、“マスターワークス”のコンセプトを発展させ、レンジごとに最適なシェル構造と素材を設定し、セット全体の音のバランスを見事に整えた“リファレンス”が誕生。ラウンドエッジを導入し、まったく新たな鳴りを追求したこのモデルは、いまや世界のドラマーの垂涎の的となっている。

2007年、メイプル&バーチを素材とし、6プライ、4プライ+レインフォースメントの2タイプのシェルを揃えた最新の“マスターズ・プレミアム”登場。シェルの持ち味を限りなく引き出し、音響的にも極めて優れたこのシリーズが進化を遂げ、パールドラムスの斬新なラインナップがここに完成した。

成形前のプライウッド(合板)

図は6ブライの場合で、タテ目/ヨコ目の2枚合わせの合板が3重に。

糊づけ

パール独自に調合したグルー(接着剤)を塗り込む作業。

成形-1

プライウッドは定められた位置にずらして重ね、成形機に収められる。

成形-2

1cm2あたり70kgfという圧力と加熱により、3分間でシェルを成形。

成形-3

マシンから取り出したシェルの上部には余分な接着剤が摘出されている。

上下のカット

シェルの上下は所定のサイズに精密機械で正確にカット。

ベアリングエッジ加工

ベアリングエッジは精密な専用マシンで少しの狂いもなく加工される。

塗装

ラッカー仕上げのプロセスは30数段階にも及ぶ入念な作業。

SST Superior Shell Technology

パールのシェル開発の歴史は、ドラムの進化の歴史とも言える。世界最高品質のウッドシェルを生み出すパールのテクノロジーを総称した“SST” (Superior Shell Technology)は、さまざまなシェルの開発とともに熟成され、今もなお、他の追従を許さない。このテクノロジーは、マスターワークス、リファレンス、最新のマスターズプレミアムはもちろん、ビギナー向けのモデルにも一貫して採用されており、パールの優れたオリジナリティを惜しげもなくすべてのモデルに投入する、パールならではのポリシーといえる。

では、そのテクノロジーはどのようなものなのだろうか?
重要なポイントは、プライウッドのスカーフカットジョイント、特殊調合されたグルー(接着剤)、そして Heat Compression Shell Molding System と呼ばれる洗練された技術を駆使する成形マシン、という3つの要素に凝縮される。
パールのウッドシェルは、厚みのあるタテ目と薄いヨコ目をラミネートした厚さ2.5mmのプライウッド(合板)2プライが基本的な素材だ(カーボンプライメイプルを除く)。プライウッドはシェルの厚みやタイプによって適切な配列が設定され、ドラムヘッドと接するベアリングエッジの頂点には常に、強度の高いタテ目があてがわれる。
重ね合わせる複数のプライウッドは、スカーフカットジョイント(下図参照)と呼ばれるパール独自のしくみにより、両端を斜めに幅広くカットし、接合面積を広く持たせて密着度を高めながら強度を上げている。これにより、ジョイント部はシームレスに近い状態となり、ヘッドの振動をシェル全体にスムーズに伝えることが可能となる。

そして、複数のジョイント部を分散させながら重ね合わせ、特殊配合されたグルー(接着剤)とともに、パール独自に開発した成形マシンで加熱成形し、余分な接着剤を吐き出すことによって、シェル内の空気のこもりを排除する。空気のこもりは、後にシェルの振動を妨げるデッドスポットとなるため、このプロセスは極めて重要なポイントだ。

また、加熱成形の後に、グルー(接着剤)がプライウッドと同等の硬度となるよう設定されているため、シェルの均一性が高まり、音響的に大きなアドバンテージが得られる。この加熱成形は、1cm2あたり70kgf という驚異的なもので、あたかも単板では?と思えるほどの均一で、真円度の極めて高い、ハイクオリティーなシェルが作りだされる。なお、プライウッドの素材は、シリーズによって細かく設定されているが、成形プロセスはすべて統一されたものとなっている。

パールがシェルの開発に力を注いできた成果は、歴代の名器の数々と、世界中のすばらしいアーティストが証明してくれる。トップアーティストからビギナーまで幅広くカバーし、ドラマーに無限の可能性を提供するパールドラムスを、ぜひ体感して欲しい。

ベアリングエッジ

ベアリングエッジはシェルとドラムヘッドの接点となる部分で、チューニングの精度や自由度を左右し、シェルのレゾナンスやサスティーンなどに影響を与える最も大切な要素として知られる。パールでは、このキーポイントに他社では見られない入念な加工を施し、設定した形状、角度、水平度を高いレベルで仕上げている。

パールが永年スタンダードとして採用しているベアリングエッジは、シェルの外側から2プライ目にあたるタテ目の部分に頂点が設定され、外側、内側に対して45度の傾斜でカットされている。エッジの先端には若干の丸みを与え、ワックスを塗り込みコルクでなじませるという、地味ながらも実に手間をかけた作業を行なうことにより、ドラムヘッドとのコンタクトを著しく向上させ、チューニングの精度を限りなく引き上げている。
あらゆるドラムヘッドに柔軟に対応し、幅広いレンジでさまざまなチューニングを可能にしているのは、このようなプロセスを経て仕上げられるベアリングエッジの完成度の高さによるものだ。

また、リファレンスに採用されたラウンドタイプのベアリングエッジは、ドラムの歴史をさかのぼれば見ることのできる、ヴィンテージスタイルともいえるもの。
しかしパールでは、リファレンスのドラムに、2タイプのラウンドエッジを設定し、音域によるレスポンスの違いを的確にとらえた。
8"から 13"のタムタムは、“ハーフラウンド”タイプで、シェル外側のラウンド部分でヘッドに接し、内側はシャープにカットされ、高中音域でのすばやいレスポンスを引き出すことに貢献している。一方、14"以上のタムタム、フロアタム、バスドラムには“フルラウンド”タイプを採用、ヘッドとより幅広い面積でしなやかに接し、中低音域でのソリッドなレスポンスを強調している。

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